「特別な掲示板に嘘を書き込めば、書き込んだ嘘は本当になる」
そんな都市伝説が爆発的な広がりを始め、子供達の間で広まっている。
しかし、特別な掲示板が見つからずにただの噂だと思われた中、一つの通報が全てを変える。
「交通事故に遭った娘が助かったと書き込んだんです、そうしたら、いたんです、部屋に、あの時の姿のままで」
ひっそりと、嘘が町の侵食を始めていた。
HO2寄りシナリオだが、端綿が舞台な為他HOも参戦は不自然ではない。作風がごっつ暗い上にかなり難解。Coo ワールド根幹設定を描写するシナリオ第二弾。
始まりは、十年前に拳銃自殺した一人の少女だった。
電脳に特化した感応能力を生まれつき持ち合わせていた岩倉玲音は、その特殊な知覚によって周囲との断絶を生んでいた。
両親にすら理解されない苦しみから希死念慮が育まれ、さらにその感情を無意識に感応で拡散してしまった結果、周囲の人々の自殺を招いた。
そんな時、彼女の前に現れたのはアノニマスだった。
玲音はアノニマスとの対話を経て、「電脳世界を新たに創世し、そこに世界中の人々を移住させることで誰もが理解し合える楽園を築く」という夢を抱く。
アノニマスは玲音に特異点電脳機器『LAIN』と資金を提供。玲音は夢の実行を一人目指すこととなる。
新たな世界を作るには自身が神になること、そんな自分を観測する誰かが必要。
玲音は敬愛していたカウンセラーの女性を感応による希死念慮の伝染により殺害し続いて自身も拳銃自殺を行う。
二人分の魂を電脳世界に転写することに成功したことにより、玲音の夢は本格始動するのだった。
五年後、国際秘密警察によってLAINが封印されたために計画は一時凍結。大厄災の混乱に乗じて再び暗躍を始める。
感応を用いて電子機器に干渉。「願いの叶う掲示板」の噂を流し、死んだ人間を蘇らせたい願いを持つ者に掲示板に書き込みするように誘導する。(掲示板は神社、書き込みは参拝に相当する)
願いに応じて現世に死者を蘇らせることで信仰を集め、さらに信者へ希死念慮の感応伝染させることで強制的に電脳世界へ移住させる。
この過程で見つけた田中正一を取り込み、その過去視を利用することでさらなる情報集積を企んだ。
彼女の視点では万全であった計画だが、二つの大きな瑕疵があった。
一つは、彼女の行う魂の転写は上辺の情報のコピーに過ぎず、その内面までは再現できなかったこと。
そしてもう一つは、内面が再現できなかった故に、玲音の本当の夢である「ぬくもりのある誰かに抱きしめられたい」という願いに気づけなかったこと。
自らの失敗に気付いたLAINは、誰かのぬくもりを知らぬままに消え去るが、最後にその安寧を願われた。
彼女の成果物はこの世から全て消え去った。ただ一人、五年前に交通事故で死んだ少女のみを残して。
玲音やLAINの得られなかった「抱きしめられたい」という願いを叶えた少女は、蘇生した死者ではない新たな生者としてこの世に産み落とされた。
感応能力を持っていた少女、岩倉玲音の魂を転写した存在。
玲音の情報から作られているため、全く同じ存在…と思われたが、その内心までは再現されていなかったため、彼女の「誰かに抱きしめられたい」という願いを知ることも味わうこともなかった。